汗かき教師修行 10年 根を養うには土なんだ 忍者ブログ
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奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録
石川 拓治
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NHKのプロフェッショナルに出た,青森県のリンゴ農家の人のノンフィクション。不可能だと言われてきた無農薬リンゴ栽培にかけた木村さんの話。

相生に行くまでの電車内で読む。ちょっとした時間つぶしのつもりだった。ところが,読み始めてみると,ぐいぐいと引き込まれる内容。途中何度も泣きそうになってしまい,通学中の高校生や,まわりの乗客に気づかれないようにするのがやっと。

木村さんは,不可能と言われた無農薬リンゴの栽培に着手する。きっかけは些細な思いつきなのだが,そこから家族を巻き込みながらの壮絶な戦いだった。
農薬をやめて,代替食品を探す日々。酢や醤油や,タバスコだと,とにかく色々なものを試すが,全部だめ。それだけ農薬というのが,どんな虫も殺してしまう薬であるという証拠でもある。そのうち,木村さんの畑は,雑草だらけ,虫だらけ,リンゴは病気で実どころか,花も咲かなくなってしまう。
当然,収入もなく,すきまで作っている有機野菜や,両親の貯蓄などで暮らす生活を送る。それでも,「自分にしかできないことだ」という決意を持って,日々虫をとることと,農薬の代わりのものを見つけることに没頭した。
しかし,あるときついにどうにもいかなくなって,自ら命を絶つべく,ロープを持って山の中には入っていく。そこで,木村さんが見つけたのは,山の中で堂々と立っているどんぐりの木。考えてみれば,山に生えている木は農薬もないのに元気に生きている。それどころか,周りは虫だらけである。にもかかわらず,なぜ当たり前にはを付けて,花が咲き,実がなるのか。

山に虫がいないわけではないのだ。(中略)それなのに虫や病気が,このドングリの木を食いつくさないのはなぜか。/木村はその理由を、この場所に足を踏み入れた瞬間に悟っていた。/麓の畑のリンゴの木も,このドングリの木も,同じ岩木山の空気をすって,同じ太陽の光を浴びている。条件はほとんど変わらない。
 ただ,決定的に違うことが一つあった。雑草が生え放題で,地面は足がしずむくらいふかふかだった。土がまったく別物だったのだ。」

「このやわらかな土は,人が作ったものではない。/この場所に住む生きとし生けるものすべての合作なのだ。落葉と枯れた草が何年も積み重なり,それを虫や微生物が分解して土が出来る。そこに落ちたドングリや草の種が,根を伸ばしながら,土の深い部分まで耕していく。土中にも,草や木の表面にも,無数のカビや菌が存在しているだろう。その中には,いい菌も悪い菌もいるはずだ。」

「自然の中に,孤立して生きている命はないのだと思った。ここではすべての命が,他の命と関わりあい,支え合って生きていた。そんなことわかっていたはずなのに,リンゴを守ろうとするあまり,その一番大切なことを忘れていた。」

「病気や虫のせいで,リンゴの木が弱ってしまったのだとばかり思っていた。それさえ排除できれば,リンゴの木は健康を取り戻すのだと。
 そうではない。虫や病気は,むしろ結果なのだ。
 リンゴの木が弱っていたから,虫や病気が大発生したのだ。
 ドングリの木だって,害虫や病気の攻撃に晒されているはずなのだ。それでもこんなに元気なのは,農薬などなくても,本来の植物は自分の身を守ることが出来るからだ。それが自然の姿なのだ。そういう自然の強さを失ったから,リンゴの木はあれほどまでに虫や病気に苦しめられたのだ。」

「自分のなすべきことは,その自然を取り戻してやることだ。」

僕は,涙が止まりませんでした。恥ずかしながら,電車の中で泣いてしまいました。なるべくばれないように。木村さんは,リンゴの木が自然と一体になった時に,自然に伸びていくのだと確信しました。そのためには,土から自然な状態にして,根を強くするのだと。
僕は,リンゴを「子ども」に置き換えて読んでいました。
人間も自然の一部です。
人間は,本来,自ら学び,のびようとするのです。ところが,いろいろな環境によって,弱ってしまう子もいます。僕たちは,それを解決するために,教授法をあみだし,面白くて,わかりやすくて,なんとか勉強に向けようとしていました。でも,それは子どもにとっては農薬みたいなものだったのかもしれません。農薬になれた子どもは,自ら学ぶ力が弱くなります。それでも,周りの環境は,よくなるわけではありません。結局,子どもは自分ひとりで「学ぶ」力が弱くなってしまったのです。
東井義雄さんは,子どもの「根」の部分を養おうとしました。どんなことがあっても,一人でもくじけずに生きていける子どもを育てようとしました。
そして,そのためには,木村さんが気づいたように,「土」が大切なのです。
ありとあらゆるものを排除するのではなく,ありとあらゆるものが,相互に関わりあいながら,共生している自然の土。これがなければ,根は育たない。
教育における木は,一人一人の子どもです。この気が育たなければならない。木の根は,「やる気」です。生きる力です。のびようとする意思です。そして,「土」は,学級です。学校です。自分以外の人や,ものと共生しながら,益虫だろうが害虫だろうが,カビだろうが,肥料だろうが,すべての要素とうまく共生していくことで,「根」が育つのです。
木村さんが,「土」に気づいたように,僕も「土」を見つけた気がしました。

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» 私も読みました
鉄人倶楽部の行き帰りに、この本を読んでいました。
今年の夏は、木村さんのリンゴ畑を見に行きたい思っています。
私を木が「子ども」置き換えて、根は「生きる力」リンゴは、子どもたちの「幸せや人生」土は、学級や学校、家庭と思いながら・・・・。
キッチョンさんの読み方で、何かとってもすっきりしました。ブログでは、もどかしいですね。「街場の教育論」「奇跡のリンゴ」このところ私が手にした本と重なっていて、ここで教えていただくことがほんとにたくさんあります。ライブでお話を聴きたいと思います。今日は、「できる人の仕事術&目標達成テクニック 箱田忠昭著」を読んでいます。
タムっち 2009/01/11(Sun)21:56:20 編集
» 青森へ!
たむっちさん
こんばんは。

>今年の夏は、木村さんのリンゴ畑を見に行きたい思っています。

そうなんですか!!それはいいですねぇ。
僕も実家が仙台だし,機会があれば訪れてみたいなぁ。どんだけボウボウなのか見てみたい(笑)

>ブログでは、もどかしいですね。
そうですね。対話して,いろいろ示唆を受けそうな感じがします。
とはいえ,ブログがあるおかげで,こうやって交流出来ているのも事実。
これからも,またコメントくださると,とてもうれしいです。
キッキョン 2009/01/12(Mon)00:26:13 編集
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