汗かき教師修行 10年 欲ばり過ぎるニッポンの教育 忍者ブログ
〜本物は続く 続けると本物になる〜
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

欲ばり過ぎるニッポンの教育 (講談社現代新書) 欲ばり過ぎるニッポンの教育 (講談社現代新書)
苅谷 剛彦

講談社 2006-11-17
売り上げランキング : 3723
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

教育学者苅谷剛彦とジャーナリストの増田ユリヤの対談本。
総合的な学習や英語教育の話から始まって,フィンランドだとか教育予算の話にいってと,教育の話に関して,わりと軸がなく話が進む印象。

そんなこの本で抑えておかなければならないだろうキーワードは2つぐらいか。
「ポジティブリスト」「フィンランドは普通」
ただ,これらのことは,苅谷氏の他の著作で詳しかったり,フィンランドの本を読んでいればそっちのほうが詳しかったりするので,それを読んだ方がいい。
特に,苅谷剛彦「階層化日本と教育危機」「教育再生の迷走」がオススメ。

それよりも,この本の面白いところは,この二人自身も言うように,対談がかみ合っていないところ。
「案の定,話がうまくかみ合わず,対談の進行は困難を極めた。二回目の対談後,苅谷先生から電話で「このままではうまくいかない。(対談を)やめたほうがいいのではないか」と提案があった。」
「議論が思うようにかみ合わない。個別の話と,マクロな視点のずれが目立つ。増田さんに,こっそり,やめましょうかと提案した。」
と両氏がわざわざまえがきとあとがきで言い訳?するぐらい,確かに前半で議論がかみ合っていない。

が,このかみ合わなさの原因を探るというのは,なかなか面白い読み方になった。
増田氏は,ジャーナリストで,世界各国の教育を取材している方である。彼女は総合的な学習の時間や英語教育にも賛成の立場を取っている。その理由は,「うまくやれば素晴らしいもの」であり,「保護者もそれを求めている」からであるとする。
苅谷氏の考え方は,それとは反対のもの。日本の教育は,「ポジティブリスト」を作ろうとしている。なんでも取り入れるものを取り入れていく。でも,実際には,時間数の制限があり,予算の制限がある。本当に大切なものがどれなのかを議論もせずに,あれもこれもと足していくのはいかがなものか,というのが氏の主張。
増田氏は,保護者代表?として,またいろいろと素晴らしい教育を見てきたものとして,もっと教育現場が真剣になって取り入れていくようにすればいいようなニュアンスで話すし,それこそが国民のニーズに合っているという感覚を持っているので,時間数や予算の話にぴんとこないように見える。

対談の中で,フィンランドの高校進学率の話になるのだが,フィンランドの高校進学率は60%ぐらいらしい。専門教育は受けても受けなくてもいいという風潮の中でのことで,だからフィンランドの教育は・・・というつもりはもちろんない。本の中でも,それを前提にした上で,おもしろい指摘がなされている。
日本の場合,今や大学まで全入するような時代である。ほとんどの国民が,義務教育だけでなく専門的な教育をうけるようになっている。であるから,社会の諸問題の原因は,そのほとんどが受けている「教育」の問題としてとらえるようになる。
一方,フィンランドでは,40%は,高校に行かずに,職業選択をする。義務教育時点での教育が大切なのはいうまでもないことだが,そういった社会の中においては,社会の諸問題の原因を,すべて「教育」のせいにすることはないだろうということだ。その問題は,教育にもいったんはあるかもしれないが,社会の問題である。こういう態度になるのではないかということだ。

この視点は,なかなか面白い。「教育」が大切なのはもちろんいうまでもない。が,教育さえ変えればどうにかなるものでもない。何かあると,教育の問題であり,役人の問題であり,現場の問題であるという風潮は,国民全員が,高等教育まで受けられる時代だからこそある現象なのかもしれない。

教育については,誰でも語ることができる。なぜなら,自分自身が通った道だからである。人それぞれの立場があって,その人独自の教育観から語ることができる。そして,適当に放言したとしても,教育の結果が出るのはずいぶん先なので,その責任を問われることはない。
だから,無責任に,なんでも足して,無責任に,国民や社会ののニーズであるといい張って,無責任に,こうあるべきと理想論を語る。

ジャーナリストであり,保護者の代弁者のような立場で,教育を語る増田氏と,もっと大きな視点で教育を語ろうとする苅谷氏の対談がかみ合うわけがない。
そのかみ合わなさが,そんな教育論ではいけないのだということを物語っているのが,この本の面白いところかもしれない。

拍手[0回]

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カウンター
カレンダー
09 2017/10 11
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
最新CM
[08/14 みゆ]
[08/13 キッキョン]
[08/13 みゆ]
[04/28 キッキョン]
[04/28 ミナミ]
[04/22 キッキョン]
[02/18 キッキョン]
[08/22 キッキョン]
[08/19 笹木 陽一]
[04/12 キッキョン]
最新記事
プロフィール
HN:
キッキョン
HP:
性別:
男性
自己紹介:
37歳二児の父。アラフォー
所属サークル(さあ来る?)
湧氣会 第二土曜 明石 
おもちゃ箱 第四金曜 神戸
楽笑 第三金曜 芦屋
元気塾 第三土曜 西宮
『学び合い』不定期
アーカイブ
ブログ内検索
グーグル検索

Google

Copyright © [ 汗かき教師修行 10年 ] All rights reserved.
Special Template : 忍者ブログ de テンプレート
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]